『動物たちの3・11』が出版されます

拝啓
昨年3月以来、取材先の一つとしてお世話になっている動物愛護団体・アニマルクラブ石巻の代表である阿部智子さんが、来月本を出版されることになりました。

  

 【書誌情報】
  書名 :動物たちの3.11 −被災地動物支援ドキュメンタリー−
  発売日:2012年3月1日
  定価 :1365円(本体1300+税)
  ページ:224ページ
  判型 :四六判
  ISBN :978-4-04-727948-3
  発行 :株式会社エンターブレイン

昨秋から執筆を始められていましたが、普段から犬猫の保護や動物病院の仕事などで多忙な生活が、執筆活動によってさらなる激務にさらされている姿ははたで見ていても気の毒なものでしたが、被災地の動物たちの現実だけでなく、被災以前からつづく動物たちの置かれている現実を伝えようと、自身を促し、息もつかせず書き上げながら、しぶといばかりの推敲を重ねつづけていました。百尺竿頭一歩を進めるとはかくの如きかと、万事に迂闊な私にはその姿はとても眩しく思えました。

阿部さんの文章を初めて読んだのは昨3月の25日、アニマルクラブの活動報告を兼ねて、自身の無事をそのホームページに公表された時です。「ご心配かけました。私は大丈夫です」とタイトルされた文章には、発災後のアニマルクラブや阿部さんご自身の容子が詳らかに書かれており、現地の息づかいまでが聞こえて来るようでした。その文中もっとも印象的だったのが、犬2頭・猫1匹の死という過酷な事態をつづった後に書かかれた「その後、油臭い黒い泥が溜まったクララのプレハブから、人なつこくない猫達を、2階に移す作業が大変でした。」という一文です。

いま読み返しても、ふと目がここで留まります。この「人なつこくない猫達」という表現、ここに私はまだ見ぬ「阿部さん」という人のユウモアを感じ、また非常時にもユウモアを忘れないという知性を感じました。

『動物たちの3・11』、発売予定日は3月1日です。
                                                    敬具

平成壬辰 如月八日
宍戸 大裕