魯迅と藤野先生

中野重治の「四方の眺め」を読んでいたら「花束と国宝」という題の作品があって、魯迅と藤野先生について触れていた。魯迅の「藤野先生」の結びを引用してはじまり縦横に語っている。
魯迅と藤野先生を語りながら、それは魯迅や藤野先生という人間のありようへの彼の同情、共感を語っていた。国と国ともこうありたいというあり方が、人と人のこうありたいというあり方を通して見えてくる。仙台という身近な場所にそれがあったことを、うれしく思う。

太宰治魯迅と藤野先生のことを「惜別」という小説にしていることも知った。魯迅と藤野先生。太宰治とそのふたり。そして中野重治にとっての藤野先生と、魯迅

日本と中国との、中国と日本との一衣帯水は「集団的自衛権」以前のものとしてある。そのそれ以前のものをあびるほどに知りたいと思う。そこからいまを眺めていくぞと思う。


平成甲午文月十五日
宍戸 大裕