遠い島

きょう、翁長沖縄県知事と菅官房長官が初めて対談した。知事は就任当初から官邸との対談を要望していたが、4ヶ月が経ちようやく実現した。

「上から目線の『粛々』という言葉を使えば使うほど、県民の心は離れ、怒りは増幅していくのではないか」と知事が話したと、報道されていた。

「粛々」とはもっとも対極にある「対話」という努力が、そもそも政治家の努力であるはずだろう。政治の本質、人間の本質には、面倒極まりないことではあるけれど、理解できない他者をそれでも理解しようとする姿勢があるべきだと、僕も頭では思う。
でも、沖縄県知事との直接対談でも「粛々と」なんて言ってのける精神は、やっぱり僕には理解しがたい。やもたてもたまらずという具合で、今月沖縄に行くことに決めた。東京に住む身にすると、気持ちの上でも実感としても、ずいぶん遠い島であると正直感じる。

遠い島へ行き、わずか数日滞在して、遠い島へ戻る。面倒極まりないことではあるけれど、「粛々と」という按配で何もかも、僕の生活までをもローラーで均していきかねない政府が現実にあるのだから仕方がない。だいぶ、したたか均されてしまったこの2年半。土性骨をたたきなおしてもらいにいく。

平成乙未 卯月五日
宍戸 大裕