調和と不調和と

沖縄を離れて2週間あまり。つよい余震をおさえおさえて映画の編集に向かい合う日々。「風は生きよという」の再編集に取りくんでいる。

中野重治が著書の中で「アンバランスを失うということ」について書いていた。いわく、バランスを失うとは言うが、アンバランスを失うとは普通言わないだろう。けれど、実際アンバランスを失った状態というのはある、と。

バランス、調和、均衡。そういう「枠」にはまりたがるのも人間ならば、そこからはみだしてくるもの、噴出するもの、こぼれだしてくるものをとどめがたいのも人間だ。

調和がとれて不調和になること。
不調和がそのまま調和になっていること。そういうことはよくある。

調和一本やりで進んでいけば、それ自身不調和になるということがとっても愉しいことに思える。意図してあふれていくのでなくて、勝手にあふれていくもの。そのあふれたものは結局のところ、とっても大事なものなのだと思うきょうこの頃なのだ。

平成乙未 皐月十一日
宍戸 大裕