『支援vol.8』に寄稿しました

生活書院から5月に発行された雑誌『支援vol.8』に映画「道草」についてのエッセイを寄稿しました。 

  

映画をつくるきっかけや、製作中に感じ考えてきたことの一端を書きました。僕は本を読むのが好きで、映画製作時にもそのテーマに関係する本や資料を探すことから始めます。「道草」の場合は、同じ生活書院から出版されている『よい支援!』『ズレてる支援?』という2冊が指南書でした。製作中、迷うことがあると何度か読み返し、その度あらたな気づきを得ました。支援という視点が中心ですが、日常の人間関係を考える上でも示唆に富んでいます。

資料という点では、新聞に載る日々の関連ニュースやコラム、読者の投書も気になると切り抜いて、製作ノートに貼っています。映画が公開されてからもそのテーマに関わる切り抜きは継続します。映画が出来たといっても、描いた世界にエンドマークがあるわけのものでもなく、終わりなどないのですから。でも、自分自身の関わり方には変化も出てきます。描いた世界と僕との、気持ちの上での距離感が遠くなったり、近くなったりするのです。新聞の切り抜きという習慣は、遠くなった距離を意識させてくれることに有効で、時にその遠くなった距離を縮めるきっかけになったりもしています。
世の中のあれこれに興味や関心が湧くので、小学生から始めた切り抜きのテーマは百を越えました。これまで製作してきた映画も、あるテーマを映そうと思う時にはすでに関連する切り抜きを先に始めていたものでした。ただ、あちらこちらに関心が湧くといってもそれを例えば映画にし、公開までいたるためにはいくつかの条件が必要になってきます。そう考えると、生れることの出来た映画にはよき運があり、幸いがあったのだとも感じます。

「菊根分けあとは自分の土で咲け」という句を聞いたことがあります。「道草」もこんな風に大きくなっていってほしいと願いつつも、まだ生れたばかり。這えば立て立てば歩めの親心でまだしばらく、右往左往することと思います。