2本の映画

公開中の2本の映画にコメントを書かせて頂きました。「東京干潟」(村上浩康監督)と「アリ地獄天国」(土屋トカチ監督)という作品です。村上さんは同郷の先輩、土屋さんは学生時代から映画を教えて下さった先輩です。こういうと先輩に対して追従コメントを…

平気になれない

「道草」の編集も佳境に入っていた昨年5月、最終盤で袋小路に迷い込み往生していた。その時、ふと思い立って出かけたのが神奈川県七沢温泉にある「福元館」という旅館だった。ここは小林多喜二が逗留していた旅館で、往時に多喜二が身を隠していた建物も残さ…

いのちのめぐる

夏の田んぼの畦道を朝な夕な歩いている。朝、ふと前の草むらにオニヤンマが低く止まっている。近づいてよく見ると生きながら仰向けにされたセミに乗りかかり、喰いにかかっていた。ミン、ミン、ミンとセミの必死が畦に鳴き渡る。手脚を振り回して抵抗するも…

牛の見分けがつかない

8月5日、6日と浪江町にある希望の牧場へお手伝いに行ってきた。昨秋来、9ヶ月ぶりに訪ねた牧場には274頭の牛が息づいていた。牧場長の吉沢さん、お姉さんともに元気だった。ジッとしてても汗が伝ってくる夏は、だからエサやりの作業が始まるのがとても早い。…

石垣さんを推す

かつて中野重治は「弱い弱い人間の、強い強い誠意」と書いた。組織が右といったら右、組織が左といったら左。それではひとりひとりはいつまでも弱いままだ。自分で考え発言する、組織はそれを認める。むしろ後押しする。そうすることで個人も組織もしなやか…

あらゆる当事者を国会へ

あらゆる当事者を国会へ。れいわ新選組、比例代表1位・舩後靖彦(ふなごやすひこ)さんの紹介映像をつくるため本日千葉県内で撮影に臨みました。舩後さんは難病のひとつであるALS(筋萎縮性側索硬化症)の当事者です。車いすで移動し、人工呼吸器と胃ろうを…

古人に列なる

ここ数年、訃報を聞くことがつづいている。取材であった人。猫や犬。みな去っていってしまう。ニュースで初めてその名を知る人たち。ニュースで知るような時には、もう亡くなってしまっていたりする。去っていった人たちはどこへ行くのだろう。そしてそんな…

映画「道草」公開のご案内

新年あけましておめでとうございます。昨年はたくさんの方のお力添えにより映画「道草」が完成し、各地で試写会も開かせていただくことができました。応援して下さったすべての方に心より感謝申し上げます。2月の新宿ケイズシネマでの公開を皮切りに、全国劇…

越前福井

「おぞい」という言葉を知った。「道草」の試写会のため先週末福井に来て二日のうちにある店で店主から二回耳にし、駅前の古本屋で見つけた福井生れの作家の研究書で一つ目にした。「ひどい」とか「よくない」というニュアンスをもつようだ。用例としてこん…

その手記に

11月25日、NHKニュース7で報道がされた。 「障害者殺傷事件の遺族 葛藤の末に初めての手記」。夕食の時間だったが目が釘付けになり箸が止まった。しばらくして次のニュースへ移っても気持ちが揺すられていた。夕飯のつづきに手をつけながら、揺すられた気持…

道草のホームページを開設しました

映画「道草」の公式ホームページを開設しました。 こちらからご覧下さい。 https://michikusa-movie.com/チラシも出来ました(ホームページからのダウンロードも可能です)。 来年2月以降、新宿ケイズシネマをはじまりに予定してます劇場公開へ向けて、現在…

五井さん作品展に

来月3日から東京世田谷の「梅猫庵」で「わすれないでね… 五井美沙作品展&アニマルクラブ石巻の仲間たち」が開かれます。 アニマルクラブのボランティアだった五井美沙さんは、東日本大震災で亡くなりました。29歳でした。震災後に初めて石巻を訪れた僕は、美…

『支援vol.8』に寄稿しました

生活書院から5月に発行された雑誌『支援vol.8』に映画「道草」についてのエッセイを寄稿しました。 映画をつくるきっかけや、製作中に感じ考えてきたことの一端を書きました。僕は本を読むのが好きで、映画製作時にもそのテーマに関係する本や資料を探すこと…

道草

新しい映画が完成しました。名は「道草」としました。 重度の知的障害があり、自傷や他害行為といった行動障害を伴うことのある人たちが、地域で介助者とともに生活するありようを描いたドキュメンタリー映画です。5月下旬に完成し、これまで2度完成試写会を…

条件反射みたいに

井上ひさしさんのつくる芝居には、悪人が出てこない。 権力者、悪党、ずるい奴ら、いろいろいる。そういういろいろが純粋で優しくてまっすぐな人間を痛めつけたりする。そういうことはある。でも結局のところ、権力者、悪党、ずるい奴らが、どこか憎めない姿…

クマよ

昨日、宮城県の山でクマの生息調査をされてる方々に同行させてもらい山を歩きました。 野生動物に魅せられたのは中学生の頃。NHKの「生きもの地球紀行」を毎週ビデオに録画して観ていました。 自然の生きものが映しだされる番組は素晴らしかったのですが、最…

長崎のこと、佐多さんのこと

先月末から今月はじめにかけて長崎を訪れました。「風は生きよという」の自主上映会を来年3月、長崎市で開いていただくにあたって地元の主催者との事前打合せのためでした。 会場はブリックホール・国際会議場と決まり、実行委員会の担い手も決まってさあこれ…

安曇野、上田、沖縄のこと

先週、長野県安曇野市で「風は生きよという」の上映会を開いていただきました。 平日の昼間にもかかわらず200席の会場は満員。実行委員会のみなさんが人と人とをつなぐことに掛けた心が伝わってきました。あたたかな場に居合わせられたことに感謝です。また…

しずかなにぎやかさ

3ヶ月ぶりに書きます。浦島太郎のような気持ちです。 10月1日、2日の2日間。宮城県大和町吉岡宿で初めて開催するドキュメンタリー映画際、「吉岡宿にしぴりかの映画祭」が開かれました。 ぼくも実行委員の一人として、準備から関わらせてもらい当日を迎えま…

出会ったときがいちばんいい

あしたから、映画「風は生きよという」の公開がはじまります。渋谷アップリンクで、7月9日〜29日までの予定です。公開前の心境は、いつも浮きません。憂鬱で不安ばかり。明日のことを思い悩むな、どころか、公開期間の3週先まで思い悩んでます。「人がいな…

札の付いてない不良だって

さきごろ、世田谷文学館で開催中のコレクション展「作家たちの戦中・戦後」を見てきました。 (世田谷文学館HP http://www.setabun.or.jp/) 目あては、中野重治の肉筆原稿ですが、実に良かった。 そこで初めて知ったのですが、筑摩書房の編集者に石井立(た…

劇場公開が決まりました

もう2週間前になりました。 東大和市で開いていただいた「風は生きよという」上映会は、お陰様で満員御礼でした。 さすが、海老原さんの地元です。上映会を準備してくださった方々、ご覧くださった方々に心から感謝です。入りきれずにお断りしてしまったたく…

雪が降りました

夕方から、石巻に雪が降りました。ちらほらと舞ってきて、道を濡らせたところで雪はやみました。あの日も雪が降ったことは、ニュースで知りました。 あの夜も昼も、ここにいられなかった僕は、きょうここにいることに、自分としてほっとします。 忘れ物も多…

ふたつの上映会

4ヶ月ぶりに書きます。 今週の土曜日は、僕にはうれしい日です。 この日は埼玉県新座市で、前作「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」の上映会が、東京都東大和市では新作「風は生きよという」の上映会があるのです。 どちらも同じ時間帯に上映のため、僕は…

みんなたたかってきた

『忘れられた日本人』を読み終えた。 ものを識らずに生きている自分、何も積み重ならずに、無内容、無力のままにただ生きてあることを痛切に思わされる。 とにかくものを識らない。切実でない。上辺だけで表層的。人間の構造として、度しがたく表面的で不真…

あやふやな私。あやふやな私たち。

このところ読んだ本、読みはじめた本の言葉から。 『ズレてる支援!』(寺本晃久、岡部耕典、末永弘、岩橋誠治 生活書院、2015年) まだ、まえがきしか読んでないのにまえがきだけで十分、食いつきました。 「私の前にいるのその人の姿が、いつものその人の…

茨城・栃木洪水被害

北関東の洪水被害に関して、ペット動物の避難に関する情報です。1.NPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」 http://ameblo.jp/capin-blog 茨城の動物愛護団体です。ペットと飼主の同行避難をすすめるとともに、現在一時保護を検討されていま…

祖母の声

父方の祖母は、若い頃から新聞に投稿することが愉しみのひとつでした。その祖母も90歳をすぎた頃には体力の衰えからか筆力が落ち、「書いても掲載されなくなってきたから」とぼやき半分、投稿することに興味を喪ってきているようでした。 その祖母の投稿が、…

平成27年夏の人びと−その弐

昨日の「首相の一日」が、新聞朝刊に載っていた。【午前】7時41分、官邸。45分、加藤勝信官房副長官。8時54分、国会。9時、衆院平和安全法制特別委員会。【午後】0時13分、官邸。18分、菅義偉官房長官。6時37分、報道各社のインタビュー。44分、東京・赤坂の…

平成27年夏の人びと

一昨日、昼間の暑さにうなだれながら編集をしていたらセミが鳴きはじめた。夕方になると、短かったがひぐらしも鳴いた。たしかに聴いた。自分と考えが異なる人と話し合う時は、きっと相手を尊重することが大事なのだと思う。つまらないことだけど、でも大事…